前回の調査 ではインスタグラマーの意識を把握した。そこで、次にインスタグラマーのタイプ別指向を見ていくこととする。

インスタグラマーは「3種類6タイプ」に分かれる

彼女たちに職業を質問したところ、大別すると3種類に分類できた。「モデル/タレント(ミュージシャン・歌手含む)」、美容師などの専門職も含む「ビジネスパーソン」、そして「主婦」である。
この3種類は、それぞれ2種類ずつ、合計6パターンのカテゴリが浮かび上がってきた(図1)。その結果、「モデル/タレント」のカテゴリはモデルとタレントで明確に区別され、同様に「ビジネスパーソン」では会社員と経営者、「主婦」では子どもの有無によって投稿内容も大きく変わっていることがわかった。
つまりインスタグラマーは、「モデル」と「タレント」、「会社員」と「経営者」、そして「子あり主婦(ママ)」と「子なし主婦」の6タイプに分類できるのである。

図1:インスタグラマーの分類

 

1. モデルインスタグラマーの特徴

モデルのインスタグラムは、なによりも世界観を重視しているのが最も大きな特徴である。
全身カットの写真投稿が多く、そして意外にも(?)多数の男性ファンを獲得している。モデルは、その日のコーディネイトとして全身写真を載せることが多いが、その撮影場所、つまり背景となるロケーションにもこだわっていることがうかがえた。また、モデル同士の相互フォローが多いものの、コメントについてはその8割ほどが男性フォロワーだった。

 

2. タレントインスタグラマーの特徴

タレントのインスタグラムで特徴的なことは、ファンとのエンゲージメントを重視している点である。
斜め上方からの自撮り写真が多く、手に製品をもって撮影する(いわゆる「ニコパチ」)率がかなり高い。「ファンとのエンゲージメント重視」という面においては、テキスト(ハッシュタグ)を重視している点も特徴だ。写真を載せるにしても、モデルの世界観重視とは異なり、「今から仕事だよ」とテキストを添えた自撮り投稿(斜め上方から)や、何気ない日常生活のシーンのカットをSNOW(画像加工アプリ)などで加工した画像が多く、フォロワーに親近感を抱いてもらうことに熱心な様子がうかがえる。
また男性フォロワーの年齢層が20~50代と幅広いことはモデルとは異なる点であるが、彼らのエンゲージメントを獲得するためか、肌の露出がやや多めの服装のショットを載せている人が多いのも特徴的だ。

 

3. 会社員インスタグラマーの特徴

会社員インスタグラマーには、平日会社員、休日モデルといった人が多く含まれている。彼女たちの投稿からは「日常カットはキラキラさせる」「アフター5はパーティや体験会に行く」という、いわゆるインスタグラマー生活を満喫している様子がうかがえる。
彼女たちは「仕事帰りのイベントやパーティ」や「今日のランチ」などの投稿を仕事として請け負い、投稿している。したがって、ハッシュタグに「AD」「PR」などと入っている投稿数も比較的多い。このタイプのインスタグラマーは、モデルやタレントのように事務所に所蔵しているわけではないため、フォロワー数の多寡が仕事獲得のカギであることを認識しており、フォロワー数を獲得することに最も熱心なインスタグラマーである。そのため、世界観が近いインスタグラマー同士で相互フォローを行う者や、検索ヒットしやすいハッシュタグを多数つける工夫をする者などもいて、フォロワー獲得の技術に優れている人たちだと言える。

4. 経営者インスタグラマーの特徴

経営者のインスタグラムの投稿は、セレブな雰囲気の投稿が多めであり、自身の経営する会社のPRを兼ねてラグジュアリーなイベントや製品を紹介しているケースが多い。
会社員は自分のフォロワーを増やす努力をしているが、経営者となると自分自身のことよりも、経営している仕事につながるようにインスタグラムを利用する傾向が強い。そのため、お客さんや来店した芸能人とのツーショット写真も目立つ。自分のファンか仕事の支援者かの違いはあるものの、このカテゴリもまたフォロワーを増やすことには熱心である。

5. ママインスタグラマーの特徴

子どものいる主婦インスタグラマーは、自分(+子ども)のコーディネイト写真が多い(ちなみに男の子ママは子どもの顔出しOKだが、女の子ママは子どもの顔出しNG率が高い)。
とはいえモデルのような「今日のコーディネイト」写真を投稿するのではなく、「先日のハロウィンの時のコーディネイト」というように、投稿までのタイムラグがあるのも特徴だ。意識調査でも多く聞かれた「突発的な仕事」は断るという回答からも時間的な余裕がないことが伺える。
またハッシュタグにファストファッションブランド名をつけることが多い点も、このクラスタの特徴である。チェックするアカウントとして「ユニクロ」「GU」と回答を寄せていたのもこのタイプだけであった。

6. 子なし主婦インスタグラマーの特徴

子どものいない主婦は、「自宅での鏡越しの自撮り写真」(編集はマスト!)の投稿が日課となっているようだ。
やはり子どもの有無で時間的余裕に差異があり、写真一枚一枚に丹念な加工を施すことが可能なのもこのカテゴリだ。
モデルの場合は加工なし画像の投稿が多く、撮影後すぐに投稿することも多いが、子どものいない主婦では加工を施す(中でも特に色をとばす)傾向がある。また、主婦であるため自作料理の写真も多いが、子どもあり主婦がキャラ弁やその日の夕食を投稿する傾向があるのに対して、このクラスターは「自分の手料理でゆっくりブランチ」の様子を投稿する者も多かった。