新元号「令和」が施行されて早1か月。日本中のお祝いムードが一段落した今、改めて新元号の発表から施行にかけてSNS上でどんな投稿が話題になったかを調査。さらにその中でも、新元号に絡めた企業プロモーションで特に話題になったものを抽出し、今後のPRのヒントを探った。

<調査方法>
対象期間:2019年3月1日~2019年5月31日
測定ツール:Net Base
対象プラットフォーム:Twitter、Instagram
取得ワード:令和、 平成、 元号、 新元号、 #令和、 #平成、 #元号、 #新元号

 

時系列投稿数・インプレッション数推移

投稿数、想定インプレッション数の推移をグラフ化し、いつ盛り上がりがあったのかを調査した。期間中に3つの投稿の盛り上がりがあることが分かった。

投稿数およびインプレッション数の推移

 

第1フェーズ:新元号の発表

4/1の新元号発表に合わせて、投稿数が急激に増加している。やはり首相官邸アカウント(@kantei) からの新元号「令和」の発表が28万以上RTされ、圧倒的なインプレッションを獲得した。

(投稿URL)https://twitter.com/kantei/statuses/1112545576472571904

 

また企業アカウントに投稿では、綾鷹(@ayatakaJP)の投稿がランクインした。新元号発表直後に「天保」「平成」「令和」の記念ボトルセットをプレゼントするキャンペーンを行うという秀逸な施策により、2500万以上のインプレッションを獲得している。あらかじめ投稿を準備しておき、新元号決定後すぐにキャンペーンを開始するというスピード感も注目に値する。

(投稿URL)https://twitter.com/ayatakaJP/statuses/1112549273231454208

 

第1フェーズでの人気投稿Top10

 

第2フェーズ:新元号記念キャンペーン

4月24日~4月26日にかけて、各企業の令和記念をフックにしたキャンペーン投稿が目立った。モンストキャンペーン(@monst_campaign)、Galaxy Mobile Japan(GalaxyMobileJP)、GUNZE(@gunze_jp)などのキャンペーン投稿がランクインした。

モンストキャンペーン
(投稿URL)https://twitter.com/monst_campaign/statuses/1121323008797208582

 

Galaxy Mobile Japan
(投稿URL)https://twitter.com/GalaxyMobileJP/statuses/1121066267237023744

 

GUNZE
(投稿URL)https://twitter.com/gunze_jp/statuses/1120885070259113984

 

第2フェーズでの人気投稿Top10


第3フェーズ:平成最後の日から令和へ

平成に別れを告げる創作系、ネタ発見系、などの投稿が相次ぎ、高いエンゲージメントを獲得している。
その中でも特筆すべきは、Instagramスターバックス公式(@ starbucks_jp) の投稿が入っている点である。平成に発売されたフラペチーノをスライドショー形式で振り返る形になっており、平成の時代を懐かしむファン心理に響いたと考えられる。

スターバックス
(投稿URL)https://www.instagram.com/p/Bw1ZzsxgpjG/

 

第3フェーズでの人気投稿Top10

おわりに

新元号制定・施行という国民的関心ごとの中で、改めて高いエンゲージメントを獲得した投稿を俯瞰するとともに、その中でも企業がどのような形でプロモーションに活用した事例をいくつかピックアップした。
さらに、期間中3つのフェーズごとに事例を見ると、各フェーズで企業PRにおいて抑えるべきポイントが見えてくる。

▼第1フェーズ
もっとも注目が集まる発表当日。
あらかじめ世間の大きな話題になることが分かっているため、このタイミングで企業が高い確度で注目を集めるためには、キャンペーンをとにかくタイムリーに発信できるかが勝負になる。そのためには「先読みによる事前準備」と「スピード感のある意思決定」が可能な組織体制を構築しておくことが重要になる。

▼第2フェーズ
翌日以降~第4週目まで。
当該事案と商品・ブランドとの関連性が薄くても、記念・応援キャンペーンで関心を集めることは可能である。特に大きな話題性のあるトピックであれば、世間の注目度が高い状態が続き、発表翌日から4週間後くらいまでは、キャンペーンの効果が期待できる。

▼第3フェーズ
第5週目以降~。
この時期になると、世間の注目度も下がるため、このタイミングで注目を集めるには、当該事案との密接な関連性に基づく独自のPRコンテンツ用意が必要になる。

上記は、あくまで今回の改元という稀有な事例に基づく目安であり、実際は事案の大きさ・性質により変動するので注意が必要ではある。
ただ、話題のピークや注目度が下がり始めるタイミングを見計らったPRを展開していく上でのヒントになる事例であり、ラグビーワールドカップ、オリンピックなど、次なる“話題の波”に合わせたPR戦略策定の際にも参考にすることができる。