10日間で100億円をばら撒き、大きな話題となったQRコード決済アプリ「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」。

「PayPay決済利用ごとに20%戻ってくる」「さらに、40回に1回の確率で全額(10万円相当まで)戻ってくる」ことが注目され、数多くのメディア報道やSNS投稿が見られた。

同キャンペーンは当初の予定から早まり、開始からわずか10日間で終了したが、2018年の最後に社会現象とも言えるほどの盛り上がりを見せた。これを機にアプリをダウンロードした人も多いのではないだろうか。

デジタルPR研究所では、SNS上での情報拡散メカニズムの一端を探るべく、ソーシャルリスニングを通じて、同キャンペーンがSNS上でどのくらいの反響があったのか分析を行った。

■目次

    • 投稿数、想定インプレッション数の他社比較
    • 投稿数、想定インプレッション数の推移
    • フェーズごとの人気投稿 TOP10

 

■調査概要

  • 対象期間:2018年11月1日~2018年12月14日
  • 測定ツール:Net Base
  • 対象プラットフォーム:Twitter、Instagram
  • 取得ワード:PayPay、ペイペイ

 

1.  想定インプレッション数の比較(LINEペイ、楽天Payとの比較)

まず、SNS上でどれくらい投稿があったのか定量的に分析すべく、投稿数と想定インプレッション数を算出。他社決済サービス2社(LINEペイ、楽天Pay)との比較を行った。

3社を比較すると、投稿数、想定インプレッション数ともにPayPayが圧倒していることが一目瞭然となった。特に投稿数は突出しており、他社決済サービスの14倍以上となっている。キャンペーン期間中、キャッシュバックが当たったことなどを投稿する人が急激に増えた結果だと考えられる。

さらに、比較対象を広げ、同時期に話題となった「サイバーマンデー」と比較した。

「サイバーマンデー」も期間中の投稿数は多かったものの、それと比較しても「PayPay」の投稿数は5倍以上となっており、その反響の大きさが見て取れる結果となった。

 

2. 投稿数、想定インプレッション数の推移

次に、投稿数、想定インプレッション数の推移をグラフ化し、いつ盛り上がりがあったのかを調査した。

結果、キャンペーン前後で3つの山があり以下のようなフェーズに分けられた。これは、googleトレンドでも同様の山が見られた。

  1. キャンペーン告知フェーズ(2018/11/22~11/23)
  2. キャンペーン開始フェーズ(2018.12/4~2018/12/6)
  3. キャンペーン終了フェーズ(2018/12/13~2018/12/14)

 

3.各フェーズの人気投稿TOP10

次に、各フェーズでどんな投稿が影響を及ぼしたのかを探るべく、フェーズごとに想定インプレッション数TOP10を算出した。

①キャンペーン告知フェーズ

日経新聞電子版による投稿の影響力の大きさが際立つ

1位は、日経新聞電子版で、5千万インプレッションを越え、他を大きく引き離している。

ここで情報が大きく拡散したことで、キャンペーンの認知拡大に大きな影響があったと考えられる。その他、Engagetの小口氏やTHE GUILDの深津氏、ITジャーナリストの石川氏など、IT系・テック系インフルエンサーからの投稿がランクインしている。

また、Instagramの投稿で唯一ランクインしたのが、今回のキャンペーンのメインタレントとして起用された宮川大輔氏の投稿であった。

 

②開始フェーズ

店頭の盛り上がりを伝える投稿が目立つ一方、冷静な投稿も

ビックカメラが行ったフォロー&RTキャンペーン投稿のインプレッション数が最も高かった。その他、日経トレンディや細野雄紀氏が投稿した店頭行列の様子など、”お祭り感”を感じさせる投稿がランクインした。

一方、「購入したものが、メルカリで転売されている」など盛り上がりを傍観している投稿も目立った。

 

③終了後フェーズ

「お祭り後」のネガティブな投稿が目立つ

キャンペーン期間中のお祭りムードとは打って変わり、クレジットカードの不正利用などネガティブな投稿が増加した。特に「なんJ迷言Bot @jbot26830444」による投稿が大きく拡散した。

https://twitter.com/jbot26830444/statuses/1073363736453214208

また、PayPayやビックカメラの公式アカウントによるキャンペーン終了のお知らせ投稿もランクインしている。

 

■おわりに

今回は簡易的な分析結果を紹介したが、キャンペーン開始から終了までの各フェーズにおける人気投稿を俯瞰することで、SNS上における情報拡散の”起点”を把握することができる。さらに掘り下げて、期間中に投稿したアカウントの自己紹介文などを分析することにより、「今回のキャンペーンに参加した人」や「参加はしなかったけど興味がある人」のインサイトを探ることも可能だ。

新たなデジタルPR施策をプランニングする際は、このような手法で類似事例のSNS分析を実施することが有効である。