デジタルPR研究所では、デジタルメディアの記事についたSNSシェア数を共感や関心の意思表示の結果として着目し、どのメディアで、どんな記事がシェアされやすいのか、その傾向や背景を調査、時代によって変わりゆくメディアの影響力や、生活者の受容環境を研究しています。

今回は、ビジネスメディアに2月に掲載された約10,000記事の中から、シェア数上位100記事を調査。さらに、その中でも特定企業が取り上げられている記事をピックアップし、記事の切り口やSNSでの拡散構造を分析しました。

【目次】
 1.シェア数TOP100に入った記事のメディアごとの割合
 2.企業関連記事シェア数TOP5
 3.企業関連注目記事の切り口および拡散構造分析
 4.まとめ参考データ

【分析対象】
 ・対象期間:2021年2月
 ・対象メディア:ビジネス系メディア 22媒体
 ・対象:シェア数TOP100にランクインしていた記事


分析結果ポイント


①TOP100記事の中では、東洋経済オンラインの記事数が圧倒的だったものの、前月に比べて新R25が大きく伸長し、存在感を発揮。

②特に企業関連記事では、「島忠の動物陳列棚廃止(東洋経済)」の記事が、圧倒的なシェアを獲得。企業のビジョンや本腰の取り組み姿勢に多くの共感が集まった。


シェアされた記事ランキングトップ10

1.TOP100記事の中で、各メディアの存在感は?


シェア数TOP100の記事の媒体別割合を見てみると、「東洋経済オンライン」の割合が突出して高く、他のメディアと比較して圧倒的な4割をも占めています。続いて、「日経ビジネス電子版」、「プレジデントオンライン」となっており、実はこの傾向は1月と同様の結果に。

一方、前月との大きな違いとして、「新R25」が4位にランクイン。
Gackt氏の記事などが多くのシェアを獲得しており、著名人起用したインパクトと、軽快な筆致で多くの関心を集め、ビジネスメディアの中でも存在感を高めた月となりました。

「みんな、疲れた=頑張ったと勘違いしてないか?」GACKTに“努力の本質”を教わり目が覚めた
(新R25:2021年2月8日)


2.企業発の記事に限って見てみると?


トップ10の通り、ひとくちにビジネスメディアといっても、政治やコロナの最新情報、様々な生活情報を取り上げることも少なくありません。企業PRの観点から、一旦これらを省いて、企業の商品、ビジネスにフォーカスしている記事のみをピックアップしランキングしました。
そうすると先述の東洋経済や新R25の他、IT media、ダイヤモンドオンラインの記事がランクイン。

また、Facebook、Twitterの割合を見ると、ペットやコンビニに関連する記事はTwitterの方が割合が高いのに対し、ホテルや人事関係など特にビジネスマンが関心を示す内容はFacebookの方が割合が高い傾向にあります。


3.人気記事はどのように拡散されたのか?


先述の記事の中で、特にシェア数が多かったもの3つにフォーカスし、記事の文脈を分析。その記事がオンライン上でどのように拡散されているのか、その構造を探ってみましょう。

島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け
(東洋経済オンライン|2021年2月13日)

出典:東洋経済オンライン

■SNSでの拡散状況
記事公開後、Twitterを中心に記事が拡散。特に、記事公開の2日後に影響力の高い動物愛護系のアカウントにシェアされたことで、そこから2次拡散につながっていることが分かります。また、約1週間後にTogetterでのまとめ記事が出たことで、そこからもTwitterに大きく拡散しています。

「コロナ禍でのペットブーム」という時事性に加えて、単発的イベントではなく、中長期的な視野で「動物との共生社会」を目指す同社の本腰の取り組み、姿勢が広く生活者の共感を集めたことが拡散の大きな要因と想定されます。

ホテルニューオータニ、月75万円の定額プランを発表 朝昼夕3食、掃除・洗濯サービス付き
(IT mediaビジネスONLiNE|2021年02月05日)

出典:IT mediaビジネスONLiNE

■SNSでの拡散状況
公開後、Twitterで大きく拡散され、その後オンラインニュース、掲示板、ブログとメディアを横断して記事がシェアされていることが特徴になっています。

時流を捉えた高級ホテルの月額利用プラン。実は帝国ホテルに続く後追い型のニュースとなりましたが、帝国ホテルとの比較で、かえって関心を集めたことで、多様なメディアでの拡散につながったともいえそうです。

ファミリーマートが消費者金融事業に参入へ、コンビニ店頭購買活性化目指す【スクープ】
(ダイヤモンド・オンライン|2021年2月17日)

出典:ダイヤモンド・オンライン

■SNSでの拡散状況
記事公開後、まず掲示板やブログに取り上げられ、それを経由してTwitterに拡散しているという点が特徴的です。特にいくつかの金融系ブログで取り上げられた後、それを経由してTwitterに拡散している構図が読み取れます。

コンビニ大手のファミリーマートが、なんと消費者金融に参入するというスクープ。そのインパクトの大きさから、オンライン上で賛否両論が巻き起こり様々なメディアでの拡散につながったと想定されます。

4.まとめ


ここまで、TOP100の各メディアの記事数割合、シェアを大きく獲得した企業関連記事について見てきました。
改めて、先月のビジネスメディアのポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 「東洋経済オンライン」の記事数の割合が圧倒的に高い中、「新R25」が存在感を発揮した。
  • ペット含めた「持続可能な社会」に向けた企業の取り組み、「ホテルの長期滞在プラン」「コンビニでの小口融資」といった、時事性を反映した新サービスに生活者の関心が集まった。

PR巧者といえる企業は、世間の関心の変化を捉えながら自社やサービスを巧みにメディア露出させるだけでなく、SNS上で多数の共感を獲得しています。
どの事例もPRの基本である「時事性」「社会性」「新規性」を織り込んでいる点が功を奏しており、PRを展開していく上での1つのヒントになります。

またひとくちにビジネスメディアと言っても、ネット上での影響力や、共感を獲得しやすい記事の傾向は刻々と変化しているため、PR戦略を考える上でその変化をしっかり把握していくことは、以前にも増して重要となっています。

デジタルPR研究所では、今後も様々なメディアの影響力の変化や生活者の関心の動向についての分析を継続していきます。

PR戦略立案のことなら私たちにご相談ください。

私たちプラップジャパンは、PR戦略立案を得意とするPR会社です。
感性や経験値だけでなく、膨大なウェブメディア/SNS環境データの分析に基づく戦略やストーリー、PR施策をご提案します。
PRのことでお悩みの広報・マーケティング担当の方は、お気軽にプラップジャパンにご相談ください。

PRのご相談・お問い合わせはこちら