前回に引き続き、ご好評いただいておりますソーシャル分析サービス『ディープ・インパクト・スコープ』より、最も気軽に活用できる便利な機能「リアルタイム反響分析ダッシュボード」をご案内いたします。
リアルタイム反響分析ダッシュボードとは:
広報において注視すべきSNSの投稿やデジタルアクション、ウェブメディアの各指数や言及内容を、リアルタイムで解析できるHTMLレポートです。常に関心のあるテーマの最新の情報を取得し俯瞰的な理解が可能です。
今回は「母の日」に関するWEBニュースとXのポストを対象に、6ページのダッシュボードをご用意いたしました。
ダッシュボードはこちら
ディープ・インパクト・スコープとは:
企業が情報を届けたい既存ターゲットだけに留まらず、今後届けるべき潜在ターゲットを高度なAIを活用して詳細に特定・解析し、適切な戦略に導くSNS分析サービスです。
世界的なソーシャル分析プラットフォームであるTalkwalker株式会社と共同開発した新サービスで、最先端のAIを搭載したSNS分析ツールTalkwalkerの機能と、当社独自の分析モデルTarget/Impact Cycle Modelを用いて開発しました。
▼リアルタイムダッシュボードから読み取る、母の日分析サマリー「多様な家族背景に配慮し、現実的で共感しやすいコミュニケーションが増加 」
1,全体概要
2024年4月1日から2024年5月31日にかけての母の日関連記事を分析することで、消費者の共感傾向とメディアの影響力を明らかにすることを目的としています。分析対象は、記事タイトルまたは本文の初めの50文字以内に「母の日」というキーワードが含まれる23,782件のオンラインニュース記事と、被リポスト数10件以上で「母の日」というキーワードを含む、9,834件のX(Twitter)ポストです。これらの投稿は、合計エンゲージメント数12,435,002を記録し、10,005の媒体・アカウントによって確認されました。(2024年5月21日現在)
2,記事別エンゲージメントランキング
まずはオンラインニュースの記事について、23,782件の中で、エンゲージメント数(共感指数。Facebookのいいね!、Facebookでのコメント、FacebookでのURLシェア、Twitter上でURLが含まれるツイートの合計)が高く最も共感された上位25記事を抜粋しました。※企業関連のものに色付け
傾向としては、やはり母の日のプレゼントに関連する発信が高い共感を呼び、多くランクインしました。
その他にも、ファミリーマート×ゴディバ、死んだ母の日展、大谷翔平選手関連の情報、グランスタ東京の母の日広告の報道が高いエンゲージメントを獲得しました。
3,合計エンゲージメント数 ランキングからみるバズを牽引するメディアの特定
関連記事を確認した2,897のメディアの内、合計のエンゲージメント数が高い上位25メディアをランキング形式で掲載しています。母の日のギフト特集ページを公開している花キューピットが、1つのページで最多のエンゲージメントを獲得しています。その他、livedoorニュース、Yahoo!ニュースも母の日関連コンテンツで高いエンゲージメントを記録しています。加えて、毎日新聞や朝日新聞、産経新聞、TBS NEWS DIG、マイナビニュースなども質の高さで注目されています。地方紙のオンライン媒体でもエンゲージメントを獲得できていることから、地方での取り組みも地元媒体を通じた発信の余地がありそうです。
4,ポスト別エンゲージメントランキング(公式アカウント)
続いて、Xのポストについて、キャンペーン系のキーワードを含むポストを除く8,624件の中から、企業やアニメ公式アカウントからの発信に言及しているポストをピックアップして、エンゲージメント数が高く最も共感された上位25ポストを抜粋しました。※企業公式アカウントおよび個人アカウントから企業公式アカウントのポストに言及したものに色付け
公式アカウント関連の発信については、アニメ公式による親子キャラを描いた投稿に対するエンゲージメントが目立つ傾向にあります。
関連して、話題沸騰中のアニメとコラボした企業の投稿は、作中では亡くなっている設定の母親が登場するビジュアルに注目が集まりました。
また、自社商材を母の日の代表的なプレゼントに見立てた投稿も完成度の高さから高いエンゲージメントを獲得しています。
5,ポスト別エンゲージメントランキング(個人アカウント)
次に、Xのポストについて、個人による投稿2,875件の中から、エンゲージメント数が高く最も共感された上位25ポストを抜粋しました。
個人の投稿では、母の日のプレゼントに関する投稿はさほど目立たず、家族や第三者との個人的なエピソードを語る投稿に対してエンゲージメントが多くつく傾向にありました。
家族のエピソードの中でも、子供とのエピソードはポジティブなものに反響が集まる中、父親(夫)のエピソードは愚痴を含むものが注目されていました。
また、アニメ情報に関連したポストや、二次創作のポストも高いエンゲージメントがついています。
6,分析からみる母の日の文脈の変化:
”子が母に感謝する理想を見せるメッセージングから、より現実的な母の日の過ごし方への関心が増加”
取得したエンゲージメントの高い複数の記事や投稿を見ると、リアルで個人的な発信に共感が集まっている様子が見受けられます。
オンラインニュースの上位記事でも、母の日のプレゼントにほしいもの1位が「自分だけの時間」となっていたり、Xのポストも母の日に何を贈るかという内容よりも、母の日にこんなことがあったという個人の体験ベースのポストに注目が集まっていることからもその様子がうかがえます。現実的で身近な範囲でありながら、だからこそ「あるある!」と思える話題に共感が生まれていると言えるかもしれません。
個人の体験に基づいたエピソードという点では、自身と子供の間に起きたほっこりする話題が人気の一方で、母の日の「父親(夫)のふるまい」に対する不満の声にも高いエンゲージメントがついており、特に当事者の性年代をメインターゲットとした商材を扱う企業の母の日のコミュニケーションでは注意が必要な流れです。
また、複雑な家庭事情を抱える人々への配慮を示すイベントも高く評価されました。理想的な家族像を押し付けるのではなく、現実の多様な背景に対応する姿勢が求められていると考えられます。母の日は母子や家族の関わりを再認識するとても個人的な日であるからこそ、個人の背景によって捉え方が千差万別(父子家庭、再婚家庭、ジェンダーなど)であることを意識したコミュニケーションが重要です。これは父の日やこどもの日でも同様です。
こうした流れからか、今年はアニメの公式による親子キャラクターを描いた発信以外には、「母の日ムービー」のような感動訴求をする取り組みは目立ちませんでした。
この流れを踏まえ、企業が家族性のある休日のPR施策を企画する際には、以下の様なポイントを考慮した施策を検討する必要があるでしょう。
①強い表現(言葉、ビジュアルともに)を避ける
母の日のような強力なモーメントの際には、注目を集めるチャンスでもあるため、強烈なメッセージを打ち出したいという考えがつい浮かんでしまうこともあるでしょう。しかし上述の通り家族性のある記念日は個人的な価値観と特に結びつきやすいため、注意が必要です。
②コンセプトにおける共感の幅を広げる
個人の感情と結びつきやすいからこそ、ターゲットを狭めすぎてしまうと、“それ以外”の生活者に対する配慮を欠く施策になりかねません。特にSNSではライトなコミュニケーションの方が好まれる傾向にあるため、IPコラボ施策や、自社商材を活用したクリエイティブなど、個人の感情に触れすぎない形に留めておくことも有効であると考えられます。
③取り組み自体を発信するのではなく、企画意図を発信する
取り組みの内容にフォーカスした発信は商業感を強く感じさせてしまい、かつディテールに目が向いてしまう可能性も高まるため、生活者のマイナス評価につながるヒントになってしまいます。その取り組みの背景にある、世の中ゴトを踏まえた企画意図にフォーカスした訴求が重要です。
④個人を巻き込む際は、当事者で完結する設計とする
記念日関連の施策を検討する際、個人を巻き込むようなキャンペーンを実施して、UGC増加を狙いたいと考える企業も多いでしょう。例えばその際投稿されたUGCを特設サイトにまとめるなどしてコンテンツ化を図る場合には、見世物感が出てしまう恐れがあり注意が必要です。投稿されたUGCが何かしらのインセンティブとなって本人に還元されるような形で、当事者で完結できる設計が望ましいでしょう。
プラップジャパンは、PR業界における最高品質のデータドリブンプランニングと、ファクトに基づくPDCAサイクルの高速化を推進することで、お客様の広報活動の成功を支援します。料金体系は柔軟に設定されており、各企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。詳細情報やお問い合わせについては、デジタルマーケティング部(di-marketing@prap.co.jp)までお気軽にご連絡ください。